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突然ですが南蛮です

 突然ですが南蛮です。
 ○○南蛮って料理があるじゃないですか。ありゃ一体どういう意味なんでしょうか。
 南蛮が洋風の珍しいもののことだってのは知ってるんです。でも、○○南蛮って名前の料理を調べてみると、けっこう幅広くて一概に言えないような気がするんです。
 南蛮のつく料理をおもいつくままにあげてみると…

カレー南蛮
 カレー味のうどん。長ネギが入ってることが多い。

鴨南蛮
 合鴨がのってる蕎麦・うどん。白髪ネギを添えることが多い。

チキン南蛮
 鶏肉の揚げ物を甘酸っぱいタレにつけたもの。南蛮漬け。

○○の南蛮漬け
 肉や魚の揚げ物を甘酸っぱいタレにつけたもの。タレは砂糖・酢・塩(もしくは醤油)・玉ねぎ(もしくはネギ)・唐辛子などで作る。要するにマリネ。

○○の南蛮煮
 肉や魚を炒め煮にしたもの。また、唐辛子を加えて煮たもの。


 とにかく「肉や魚を使う」のは共通してるっぽいです。
 日本は仏教国なので四つ足の動物は食べませんでしたよね。肉を食べるってことがすでに外国っぽかったのかも?
 でも、鳥や魚は食べてたんじゃない?
 うーむ…

 じゃ、油で揚げる、もしくは炒めてあるってのはどうよ?
 なるほど、フライは外国から入ってきた調理法だし、油が貴重だった時代にはかなりインパクトのある料理だったんじゃないかしら?
 でもカレー南蛮や鴨南蛮は、揚げてないと思うぞ?
 …そ、そうか。揚げ物じゃないな、あれは。

 じゃあ、マリネのことを南蛮と呼ぶというのは?
 確かに南蛮漬けはマリネだけどカレー南蛮や鴨南蛮はマリネじゃない。
 もし、フライやマリネのように西洋の調理法全般を「南蛮」と呼ぶというのならその通り。
 でも鴨南蛮はどのあたりが西洋料理?
 ぐぬぬ、手強いな。

 じゃあネギと唐辛子なんてどうですかね。
 唐辛子は南米原産だし、西洋経由で入って来るから明らかに南蛮でしょ?
 でも、ネギのどこらへんが南蛮? 昔からあったはず。
 う、ううう…

 というわけで、ここらで辞書大辞林を引いてみる。

なんばんに【南蛮煮】
 (1)野菜・魚・鳥肉などを油でいため煮た食品。
 (2)魚肉や鳥肉にネギや唐辛子(とうがらし)を加えて煮た料理。

なんばんづけ【南蛮漬(け)】
 揚げた小魚をネギやタマネギを入れた合わせ酢に漬けたもの。

 ふむふむ、つまり…

・肉や魚を使う(生臭物=西洋の食い物?)
・ネギ(玉ねぎ)や唐辛子を使う(西洋の香辛料を使う)
・油を使う/酢を使う(西洋の調理法で作る)

ということかしら。どうも、ネギは玉ねぎの代用として出てくるっぽい気がしてきたわ。玉ねぎは西南アジア原産で、日本にちゃんと入ってきたのは明治以降なのよ>参考。西洋ではマリネを作る時に玉ねぎを使うけど、日本では手に入りにくいのでネギで代用したんじゃないかしら。

 あ!
 すると、これも仲間ですね?


なんばに【難波煮】
 魚などを筒切りのネギと一緒に煮た料理。


 難波は大阪の地名でネギの産地だそうです>参考

 ナンバン、じゃなくて、ナンバか!!

 もっともこちらのページによると、難波はネギの産地としてはそれほどイケてなかったんじゃないかとも書かれています。難波のネギは、ナンバがナンバンと発音が通じることから、後から付け加えられた理由なのかもしれません。

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